2013年12月31日火曜日

「2013シーズン 総括」 後編。

第3戦・「霞ヶ浦・北浦水系戦」を優勝という最高のカタチで終え
暫定年間ランキングも首位という追われる立場として迎えることとなった第4戦「桧原湖戦」
ここ数年、確実にサイズアップしている桧原湖のスモールマウス。
また開催時期も8月30~9月1日と夏から秋に変わる時期のため
プラクティスでは釣ることはもちろん、複雑な桧原湖の地形の把握作業に大半の時間を費やした。
プラクティスで大事なのは「試合当日に釣れるサカナを予想して見えない個体を追うこと」
プラクティスでいくら釣っても、どれだけデカいサカナを釣っても何の意味は無い。

水位、水質、風、ベイトフィッシュの動き、ウィードの発育具合などなど
すべてを複合しながら予想し、練習する。
この地道な作業が試合本番で土壇場に追い込まれた時に勝敗を左右することが多い。
当たり前だけど、試合中は誰も助けてはくれない。信じるものは自分のみ。
年間チャンプという異様なプレッシャーがかかった状況だったが試合本番では
思いの外、平常心で戦えた。それもすべては練習からくる自信の賜物だったような気がする。
初日3750㌘で6位と好スタートを切り、2日目は少しウェイトを落とし3230㌘で13位。
2日間トータル順位は4位と上出来の予選だったのだが・・・

3日目は何が変わったのか?巻いて釣れていた個体が全く消えてしまった。
ここから歯車が狂いだし「さらに上位を目指し、この試合の優勝を狙うのか?」
それとも「年間優勝を意識して順位を落とさないように守りに入るのか?」

上位を狙うには「巻いて釣るしか無い」
守るには「スローなライトリグで拾っていく展開」
最終日は時間が短いため、時間的なプレッシャーも、のしかかってきた。
結局3日目は最後までどっちつかずな最低な内容の1日にしてしまった。

これまで、積み重ねてきたものは何だったのか?
試合が終わっても自己嫌悪に陥ってしまった。。

予選順位4位から最終結果は10位に踏みとどまり
暫定年間ランキングも首位をキープできていたことが唯一の救いだった。。



桧原湖での最低な1日から「最終戦では絶対に自分の釣りをしよう。」と心に決め挑んだ。
その最終戦は四国は徳島県「旧吉野川戦」
プラクティスも長期間、行ったわけだが全くと言っていい程いい手応えはなく
とにかく1日1匹というのが絶対条件。1匹釣れば次の1匹が目標という印象だった。
練習でこの手応えならば、試合本番ではもっと厳しくなることが容易に想像できたため
練習ではとにかく、「どこにルアーを投げるべきか?投げてはいけない場所はどこか?」
という試合で無駄な動きをしないための練習を行った。
それと同時にロッド・リール・ライン・リグ・フックっといったタックル面でもミスが無いように
最善の注意を払いながら選んでいった。

「釣れない試合で一番大切なモノは、折れない心」以外ない。
心が折れないように信頼できるタックルと自信のもてるスポットだけを選び
1投目からラストキャストまで、マシンのように同じリズムで繰り返すことが出来るメンタル。
そして、試合中に感じたことを思うがまま柔軟に方向修正出来るメンタル。
全ては強い気持ちを持ち続けられるか。だと僕は思っている。


そして、いよいよ最終戦を迎える。
最終戦では、つり人社「Basser」さんがプレスで乗ってくれたので写真は少ないけど
本誌では臨場感たっぷりな内容で解説してくれているので気になる方は是非。
僕にとっても宝物になりました。

大会初日、とにかく1匹を目標に自信の持てるスポットだけを撃つラン&ガン。
厳しいのは十分、分かっていたけど、やっぱり厳しくお昼までノーバイト・ノーフィッシュ。
お昼すぎにようやくバイトがあるも、20センチほどのノンキーパー。。
何もなかったかのように再び釣り続けると、すぐにナイスキーパーがヒットするも
消波ブロック越しにアプローチしていたため、抜き上げ途中でポロリ・・・。。
正直「ワールドチャンピオンになるにはどれだけ過酷なんだ・・・」っと心の中で想っていた。
でも心は折れることはなく淡々とキャストを繰り返し
3度めの正直でなんどかナイスキーパーを釣り上げることが出来た。
結果、初日はこの1匹だけしか釣れなっかった。。初日順位は38位。

普通に考えると急ブレーキで追い込まれるところだったのかもしれない。
ただ、今思い出しても追い込まれた感はなく、むしろワクワクしていた。
理由はよく分からないけど・・・その時は不思議な感情だった。

そして2日目。今日は今シーズンの「BIG DAY」っと自分に言い聞かせ
雨の中、自分の釣りを淡々とこなしていった。
結果的にはこの日も3バイト。
シャローカバーで約1300㌘と4㍍に沈む沈船で約1400㌘。
そしてシャローのブレイクで約700㌘をランディング直前でバラし。
2日目の結果は約2700㌘で11位。辛くも予選を25位でクリアできた。
周りで見ている方々はドキドキだったと思うけど、僕自身はワクワクしっぱなしだった。
本当に楽しく釣りができたことが結果に現れたように思う。

そして全てが決まる3日目。
開始早々からこの日もワクワク。スタート後すぐにシャローのブレイクで
1匹をキャッチし、そのまま、会場近くで粘るも何も起こることなく帰着。

2013シーズンのTOP50最後のサカナとなった。
最終戦の最終順位は22位。
終わってみれば、3日間でウェイインしたバスは4匹。
消波ブロック・シャローカバー・ディープの沈船・シャローのブレイクと
釣ったスポット、リグはバラバラ。
これはただ闇雲に釣りをしていったわけではなく、色んなシチュエーションに
合わせて釣っていった結果であり、まさに今シーズンの自分を象徴するような釣れ方だった。

その瞬間、その瞬間を釣っていくという柔軟な発想から行動に移せた結果だと思う。
「試合前から今日はこの場所で、このリグで。」なんてのは僕が理想とする釣りではない。

自分が追い求めてきたスタイルでこの結果を出せたことが一番嬉しいし
2013年という年が僕のスタイルに合ってくれた様に思う。

ここまで続けてこれたのも、僕一人のチカラではなく、多くの人達の支えがあったからに他ならない。
スポンサー各社をはじめ、ガイドゲストの方々、ファンの皆様、先輩プロ・後輩プロの皆様、友人、家族。
他にも挙げればキリがないほど多くの人達のお陰でTOP50という過酷なシリーズを戦い抜く事が出来ました。

本当に感謝という言葉以外ありません。
僕に関わる全ての方々に感謝申し上げます。


もっともっと成長出来るよう、皆様の期待に答えられるよう
釣りを通して、釣りの楽しさを伝えられるように精進していきます。



長く苦しく、そして最高の2013シーズン。  本当にありがとう。

2013年12月28日土曜日

「2013シーズン 総括」 前編。

早いもので今年も終わろうとしています。
大型台風の直撃などにより過去最長のシーズンとなった2013。
トレイル中は「なんて長く苦しいシーズンなんだ。。」っと思っていたが
終わってみれば、あっという間だった。
今となっては早く来シーズンにならないかなぁ。なんて思ったりも。。


今年の総括として長く苦しい、そして僕にとって最高の2013シーズンを
振り返っていこうと思います。
(長くなるし、ダメダメだったのでマスターズ・シリーズは省きます。 汗。。)


初戦はここ数年定番化している「高知県・早明浦ダム」
4月19~21日。春本番を迎えようとしているビッグリザーバー戦。


当然プリスポーンの個体が上がってくるであろうスポットを何箇所か見つけ
それらスポットのラン&ガンで走り回るいつもの僕の展開で戦った。

基本は各クリークで水温上昇とともに上がってくるブリッブリのビッグバスが狙いだった。
なので、陽が昇り水温が上がるまでは我慢の釣りで
ダウンショット・ミドストを中心にスローな釣りで陽が昇ってからはラン&ガンの
ペースを上げ、上がってくる個体を狙う戦略だったのでが・・・
結果論になるが、試合当日の天候の流れが時間が経つにつれて、水温低下し
季節も逆戻りとなった為、僕がメインとした「上がり口」は徐々にパワーダウンし
レンジ的にも一段下の「セカンダリー」っと言われるスポットにバスが集中し
今大会の上位陣はモノの見事にこれらのバスを釣ってきていた。

魚が少なくなっていくことを感じていながらも、試合途中で戦略を変えることが出来なく
早明浦ダム戦は14位。サイズに恵まれ、なんとか大崩れは阻止した一戦だった。



続く第二戦は久しぶりの九州。「福岡県・遠賀川」

季節的には6月7~9日とアフタースポーニングも季節だったが
数年前までの遠賀川のイメージとは全くかけ離れた釣れないフィールドコンディション。
原因は不明だが、ミッドスポーンとかアフタースポーンとかアーリーサマーとか
そんな言葉は皆無。(試合ではそんな言葉は全く関係ない。釣れるかどうかだけ。。)
季節感がなく、とにかく1匹1匹を丁寧に釣っていく試合となった。

決して広いとはいえない遠賀川。プラクティスを行ったイメージでは上流域では
比較的、アベレージサイズが小さい(250㌘~400㌘)が粘れば複数匹釣れるイメージ。
中流~下流域では数と狙うスポットは少ないもののアベレージサイズは大きく
(1キロ前後、2キロフィッシュの可能性もある)戦略が成績を大きく左右する試合展開となった。
僕の狙いは中流~下流域で1日3バイト・3キロが目標だった。
今思っても、紙一重な試合展開だったが、人一倍の練習量が土壇場に追い込まれた精神状態の
崩壊を阻止し、最後の最後まで魂の入ったキャストを続けることができ試合結果は4位入賞。
初日3匹。2日目も3匹。3日目は1匹。3日間で7匹しか釣っていないが、この試合でも
魚のサイズに恵まれた。(もちろん、狙っていないと釣れないサイズだけど。)

また、この試合ではただ一人、驚異的なスコアを出してぶっちぎりの優勝を飾ったプロがいた。
そう「沢村幸弘プロ」
誰もが把握している場所で、他人が釣っていた後に入っても魚を釣る技術。
エリア的にも比較的近くに居た僕には「沢村プロのルアーだけをバスが選んで喰っている」
まさに、そんな感じに見えた。本当に。。

遠賀川戦では4位と良い成績に思われるかもしれないが、1位と4位の差は数字だけの差ではなく
久しぶりに良いモノを見せてもらったし、感動すらした。
競技者である以上、常に敵だし、勝たなければいけない立場なのは当然だが
トーナメントでは自分には感じ取れない釣りをマザマザと見せつけられたりする。
それも目の前だったり、自分が通したスポットであったり・・・
そして試合後には投入していたルアーまでもが僕と同じだったことを知らされる。。
(ルアーはスイミーバレット3.8のネコリグ)
それを知った僕は・・・この先はご想像にお任せします。

「プロとしてギャラリーもメーカーも地元アングラーも。そして同じ試合で戦うTOP50選手をも
魅了した完璧なまでのパフォーマンスだった。」

未知の世界を見せつけてくれた沢村プロには本当に感謝。



続く第三戦は茨城県・「霞ヶ浦・北浦水系戦」
開催は7月20~22日と季節的には夏本番を迎える時期だったが
季節外れの寒波。というか涼しい状況。そして初日は北東風ババ荒れによる「中止」
TOP50では中止は稀で、初日キャンセルが湖のコンディションをリセットし選手全員が
イーブンスタートとなった。

正直プラクティスでは釣れ釣れだった。1日15匹ほど釣った日もあったり・・・
むしろ釣れ過ぎたことで引き出しが増え、戦略を整理することが大変だったが
初日が中止となったことで、釣っていたバスたちがどこに動くのか?
アジャストしていくことに重点をおいて、2日目を戦った。

シャローからディープ。アシやドッグ、石積み、浚渫、消波ブロック、杭、ブレイクと
とにかく広く早く探っていき、それなりにどこでもバスは釣れた。
ただ、分かったことはシャローではサイズが恵まれず、唯一サイズが良かったのが「杭」だった。
初日は5位スタート。5匹の内2匹が杭の魚で共にキロアップ。

2日目は昼前から「杭」パターンにシフトし結果的に5匹とも杭の魚で揃い
2日目はトップウェイトをマークし悲願であったTOP50初優勝を飾ることが出来た。


そして三戦を終えて年間暫定ランキングも首位に踊り出ることが出来た。
この後、「JBワールドチャンピオン」という見えない大きなプレッシャーとの戦いが始まった。



後編に続く。。